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第1回代々木アートギャラリー展覧会レビュー/『建築写生展』2
先日お伝えしましたように、
今回の『建築写生展』について、
造形学校芸術学科講師の佐々木(以下Sと略記)が、
建築科講師であり校長を務める横田先生(以下Yと略記)に、
会場で伺ったコメントを紹介します。

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S:今回の展覧会のコンセプトである
「建築写生が入試に果たした役割を再考する」から、
まずお伺いします。
私見では、
写生は建築それ自体の模写なのではないか。
模型を作って、いわば建物を摸刻するということもできると思いますが、
何よりも描くことで建物の周囲の環境、
また光と空間に対する感性が養われるのではないか。

Y:もちろん、
それもあるのだけれど、
大切なのは野外制作を通じて、
表現することの苦労・努力を体感することにあるのです。
建築という表現は様々な制約を受けるし、
思い通りにいかないことの連続なわけなのだから、
時間をかけて写生することで、
個々の建物の特徴を見きわめると共に、建築の在り方、
自分なりにどう表現するかを体得する。
まず描く努力を通じて表現するための粘り強さを養う。
そこに建築写生の役割があるわけです。
長年藝大で続いてきた「建築写生」などの入試がなくなったことを
惜しむ声も非常に多い。

S:この近代美術館の工芸館を描いた作品は構図が興味深いですよね。
半地下になっている高速道路を隔てた向こうから建物を捉えていますね。
斬新な構図だと思います。

Y:そう。
この作品に刺激されて、
同じ建物を描くにもいろいろなアングルから捉えることを後輩たちが考えるようになった。

S:先輩の作品にインスパイアされることも大切ですよね。

Y:優秀な参考作品に刺激されて、同じ角度から建物を捉えて、
さらに自分なりの構図を見つけていくことが必要なわけです。

S:人にもよるのでしょうが、
何枚描くとこのように描けるようになるのでしょうか。

Y:最低でも20枚。
しかも一回一回、力を出し切る。
土曜日曜あわせて10時間ほどの野外写生で描き切ること。
最初は6時間ぐらいでやることがなくなってしまうのだけど、
積み重ねを経て、
10時間の中でどこまで描けるかという自分なりの課題が見つけられるようになる。
そうした絵心が、
工学では押し切れない建築の表現部分を支えているのだと思う。
パースを踏まえた上で、どう描くか。

この続きは次回へと続きます。

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建築写生展
建築写生が入試に果たした役割を再考する。
-代々木ゼミナール造形学校所蔵作品から-
2012年4月11日(水)〜5月13日(日)
平日 11:00~18:00/日・祝 11:00~17:00
[休廊日/毎週火曜、5月3日(祝)〜6日(日)]

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YOYOGI ART GALLERY
代々木アートギャラリー
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by yoyogiartgallery | 2012-04-18 17:25 | レビュー・インタビュー
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